「顎関節(アゴ)は物を噛み砕いて咀嚼することにあるのですが、
言語を作り出すところでもあり、
また顎関節の運動によって
脳の血液循環が良くなることにもつながる」
医学博士 加藤征治著「おもしろ解剖学読本」顎関節(アゴ)-意志の象徴 より
障害、健常などに関わり無く『ことば』の不自由な方々の多くに顎関節の正常な動きに必要な咀嚼筋の機能低下などが見られます。
ー アゴの動きが悪いと ー
咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側・外側翼突筋)が上手く働かなくなり、結果顎ズレや前突、アゴと連動している舌筋などにも問題が生じやすくなります。
- 『さかな』を『たかな』、『たいこ』を『たいと』と発音するなど、これらは習慣的に誤って発音してしまうのではなく、舌が上手く働かない現象です。
気をつけましょう
・舌を強くするための訓練について
『ことば』が不自由な方は殆ど(100%に近い)舌が上手く動きません。
『硬直』『丸まって奥へ入ってしまう』『タテ、ヨコ、ナナメに動いてしまう』などさまざまです。
舌を上手く動かせるようにしようと、舌で上唇の上をなめる行動を試みる方がおられます。
当教室を尋ねてくる保護者の多くが、「舌で上唇の上のほうをなめさせたり、上アゴに“海苔やウエハース”などを貼り付け舌でそれを取るようなことを、『ことば』を改善する方法だと思って行ってきたが、『ことば』は改善されず下アゴが前に出てしまった。」とおっしゃいます。
解剖学者は、
舌で上唇(それもできるだけ上)をなめる行動は、下顎の運動である。
同時に、舌の筋、とくに舌内筋のほか、舌骨上筋群が常に使われている。
以上のことより、日常生活の咀嚼を含めた単なる口の開閉とはかなり異なる使用(訓練)から、顎関節への影響(つまり下顎の前突状態)は否定できない。
その可能性は、機能解剖学的にも推察される。
と指摘します。
皆さん!
一度舌で上唇の上のほうをなめてみてください!
よほど気をつけないと、下あごが前に出てしまいますよね?
それはむしろ発音不明瞭の原因になる可能性があるのです。